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教員の評価と給与は「短時間での成果」? 
文科省“働き方改革”で素案

永野厚男|2018年12月27日10:30AM

11月26日、文科省内で開催の中教審。正面に日の丸。(撮影/岡本清弘)

文部科学省財務課(合田哲雄課長)は12月6日、中央教育審議会(中教審)の学校“働き方改革”の特別部会に、“教職員の意識改革”と称し、人事評価で「同じような成果であればより短い在校時間でその成果を上げた教師に高い評価を付与することとすべきである」と明記した答申素案を出した。

2016年4月施行の改定地方公務員法は、「職員の執務については、その任命権者(注、公立小中高校等教員は教育委員会)は、定期的に人事評価を行」ない、給与等の「人事管理の基礎として活用する」と義務化。全国の公立校等教員が、校長の示す方針に沿い“高い業績”を上げれば定期昇給時、昇給幅が大になり、低評価なら昇給幅が小、又はゼロになっている。

この骨子案(答申素案の内容項目だけ提示した段階)が議題の11月26日の中教審総会で、委員の恒吉僚子東京大学大学院教授は「短時間で成果を上げた教員を評価することになると、学校の仕事を家に持ち帰ることになってしまわないか」と懸念を示し、篠原文也元テレビ東京解説委員も、骨子案全体が「生徒や保護者にはデメリットもあると思う」と述べていた。

そもそも子どもが相手の仕事で、短時間でどう成果を上げたか、測定は困難。文科省はこれら専門家の意見を無視したことになる。

答申素案は通常期の勤務時間を延長する一方、児童・生徒の夏季休業中の勤務時間を短縮し有給休暇を消化させる「1年単位の変形労働時間制」導入も盛ったが、長時間労働化する4~7月の心身の疲労が8月に解消できるのか等、深刻な問題も出てこよう。

下村博文自民党憲法改“正”推進本部長は文科相在任中の14年、全国の教委を通じ、“愛国心”強制を含む文科省配布教材『私たちの道徳』の活用状況等調査を3回も行ない、教員はその報告に追われた。真の“働き方改革”にはこうした政治色濃い“調査・報告”の全廃が必要だ。文科省はパブリックコメントを21日まで実施している。

(永野厚男・教育ジャーナリスト、2018年12月14日号)

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