ジェンダー・ギャップ指数
149カ国中日本110位
宮本有紀|2019年1月17日3:02PM
世界経済フォーラムが2018年12月18日に男女格差を示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数(GGGI)2018年版」を発表した。日本は149カ国中110位。17年の144カ国中114位よりやや改善したものの、G7(先進7カ国)では最下位で、OECD(経済協力開発機構)加盟36カ国では、130位のトルコ、115位の韓国に次いで下から3番目だ。1位はアイスランド、2位ノルウェー、3位スウェーデン、4位フィンランドと例年通り北欧が上位。最下位はイエメンで、148位パキスタン、147位イラク、146位シリアと中東地域が下位に並んだ。
格差指数は政治、経済、教育、健康の4分野を総合して出すが、日本は政治と経済の数値が低い(表とグラフ参照)。同月21日に行なわれたメディア対象勉強会では、三浦まり・上智大学教授が政治分野、永瀬伸子・お茶の水女子大学教授が経済分野の課題について解説した。
永瀬氏は「労働力率の男女差は大きくないが賃金差が大きい。女性は非正規が多く、正社員でも管理職が少ないため」「出産・育児などで女性が正社員にとどまれない。正社員にとどまる女性の拡大が賃金格差の縮小には重要」と指摘。労働力調査の結果から「09年くらいから出産後の正社員継続が大卒を中心に増えてきたが第2子を持てず40歳~44歳層の正社員の平均子ども数は減」「仕事を続けるために子どもをあきらめている。正社員を継続しながら子どもを持つ困難は解消されていない」と分析し、「小手先の『女性活躍』では大きく変わらない」「抜本的に共働き経済に転換することが必要」と述べた。
三浦氏は、「国会の女性議員割合は衆参あわせると14%程度になるが、GGGIは下院の数値をとるので日本は衆院で換算されて低くなる。ただ、地方議会には女性ゼロ議会がまだまだある。日本全体で見れば女性議員割合は国会の割合よりもっと低くなる。それを変えなければならないという認識がどれだけあるか。市民が声をあげることが必要だし、メディアの力も大きい」とし、「次の参院選は候補者男女均等法成立後の選挙であり、女性議員割合があがることを願う。次のG20サミット議長国として日本の動向は注目されている」などと話した。
なお、19年に大阪で開催予定のG20サミットに向け活動しているW20運営委員会と2019G20サミット市民社会プラットフォームが20日、「政府や企業、自治体、大学等は、(略)現状の取り組みではまったく不十分であることを関係者一同、深く認識すべき」として「実効性のある行動」を求める声明を出した。
(宮本有紀・編集部、2019年1月11日号)