ワインリスト公開も12年熟成?
懲りない外務省の隠ぺい体質
伊田浩之|2019年1月28日11:30AM
外務省が情報公開法の趣旨を踏みにじっている。筆者が公開請求結果に不服を申し立ててから12年以上過ぎてようやく情報公開・個人情報保護審査会に諮問したのだ。
具体的に紹介しよう。筆者は2006年7月12日、外務省に「7月1日現在で、外務省が保有するワインのリストの最新版」を請求、06年9月11日、「開示決定等通知書」が届いた。決定は「不開示(不存在)」。決定理由は「該当する文書を作成していないため、不開示(不存在)とした」。
外務省は大量のワイン(2006年当時約8000本)を飯倉別館のワイン貯蔵庫で保管している。リストなしでどうやって管理しているのか。担当者がすべて記憶しているとでもいうのか。誰もが疑問に思うことだろう。
決定に不服があるときは、行政不服審査法に基づき、審査請求を行なうことができる。審査請求があった場合、行政機関は、原則として、情報公開・個人情報保護審査会に諮問したうえで、審査請求に対する決定を行なう。
私は、06年9月19日に不服を申し立てた。その諮問が18年11月29日だったと、18年末、外務省から通知があった。外務省は、諮問まで12年以上寝かせたのだ。
電話での問い合わせに外務省情報公開室はこう説明する。
「これほど諮問までの期間が長いものはないが、担当部署が繁忙だったことと他の請求との関係から単独で動かすことが難しかった。それが整理できたので諮問した」
特定非営利活動法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「諮問までの期間は法的には定められていないが、明らかに法の趣旨を逸脱している」と指摘。作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんは「法的に期間の定めがなくても社会通念上、諮問が遅すぎるのは官僚の明らかな不作為。たとえ鉛筆1本でも外務省のものは国有財産です。リスト未作成なら管理問題ですし、仮に『備品リストで管理しておりワインリストはない』というのなら不誠実。いずれにせよ、こんな通知を外務大臣印を押して送ってくるのは国民蔑視です」と話している。
必要があるならば数十万円以上のワインを持っていてもいいだろう。問題なのは、自分たちに都合の良い法運用と隠ぺい体質だ。
(伊田浩之・編集部、2019年1月11日号)