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ハンスト元山仁士郎さん応援に芸人村本大輔さんも
辺野古県民投票の行方は
渡瀬夏彦|2019年2月6日4:49PM
「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票」は、2月24日に行なわれる。
「辺野古」県民投票の会が県民投票実施請求のために集めた有効署名は、規程(有権者の50分の1)を遥かに超える9万2848筆。その後、県議会の正式な審議と議決を経て、埋め立てに「賛成」か「反対」かの二者択一による県民投票の実施が決まった。民主主義のルールに則って進められたこの県民投票決定までの経緯には、法的にも瑕疵は皆無だ。
そうであるのに1月21日現在、宜野湾市、宮古島市、石垣市、沖縄市、うるま市、五つの市の自民党系市長たちが県民投票そのものへの「不参加」を表明したままである。ちなみに背後で自民党本部や自民党・比例九州ブロック選出の宮﨑政久衆議院議員が「県民投票ボイコット」の指南役を務めていたことが明らかになっている。
「辺野古」県民投票の会代表・元山仁士郎氏が、この5市長の判断に抗議してハンガーストライキに突入したのは、15日の朝だった。
五つの市にたまたま居住しているというだけで、県民投票に参加する機会そのものが奪われるという理不尽さに憤りを覚える人が多いのは当然だが、木村草太首都大学東京教授ら憲法学者も、明らかに憲法第14条(法の下の平等)違反だと指摘している(「沖縄タイムス+プラス」1月10日付)。このままでは、元山氏(宜野湾市民)も、正当な手続きを経て県民投票実施を決めた沖縄県知事の玉城デニー氏(沖縄市民)も、投票できない、という皮肉な事態になる。
元山氏は水しか飲まずに60時間が経過したところで塩をなめるようにはなったが、体調は急速に悪化し、5日目、105時間が経過したところでドクターストップがかかった。彼は身近な人たちの強い要望を受け入れ、1月19日17時頃、ハンストを終了し、入院した。
【村本大輔氏も対話のために来沖】
この間、ハンスト現場の宜野湾市役所前には、5市長に「県民投票参加」を求める署名をするため、様々な立場の老若男女が訪れていた。人の波は、ゆるやかではあるが途切れることがなかった。筆者も3日間取材に通い、様々な声を聴いた。戦争体験者の老人たち、辺野古の海でカヌーを漕ぐ人、知事選でも玉城デニー氏応援に大活躍した創価学会員、選挙権を持たない地元高校生、本当に多様な人びとに会った。
共通していたのは、「民主主義社会で最も尊重されるべき市民の投票の権利を、投票で選ばれた市長が奪うのはおかしい。体を張って訴えた元山さんにありがとうと言いたい」という思いだった。
知事選の際にもじっくり取材に応じてくれた創価学会員の野原善正さんは1月18日、「いま創価学会の人たちに言いたいことは?」と問う筆者に、毅然とこう答えた。
「そもそも公明党沖縄県本部は、辺野古反対の立場を今でも崩していないんです。辺野古推進の自民党と一緒になって選挙を戦っていることも、ましてや県民投票を妨害するような人たちに加担することも許せません。いまこそ県内の創価学会員は、公明党県本部に対して、声を上げましょう。全県実施できるまで頑張りましょう、と言いたいです」
社会問題・政治問題を漫才のネタに取り入れて注目を集めているお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔氏は16日午前、オフの時間を利用し、ハンスト中の元山氏と対話するためだけに沖縄まで飛んできた。「この行動に応えなかったら、罪悪感しか残らない」と思ったという。
村本氏は原発の町・福井県大飯町(現おおい町)出身の自身の境遇に重ね、原発の賛否の問題で自分がどんな行動をとれるか自信がないと言い、「たった1人で地元普天間基地の真ん前でハンストして座り込む覚悟がすごい」と勇気を称えた。「今日は勇気をもらいました」と言い残し、那覇空港へと引き返していった。
元山氏の行動が波紋を広げ、県民投票全県実施を求める沖縄の民意は、ますます注目されている。
(渡瀬夏彦・ノンフィクションライター、2019年1月25日号)
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