渋谷暴動事件・星野受刑者の妻が仮釈放求め会見
片岡伸行|2019年4月1日11:24AM
東京・渋谷での沖縄返還協定批准反対のデモ(1971年11月14日)で機動隊員1人が死亡した事件で、「実行犯」とされ「無期懲役刑」で32年にわたり服役中の星野文昭受刑者(72歳)=再審請求中=の妻・暁子さんと弁護人らが3月15日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で会見し「1日も早く仮釈放を」と訴えた。
徳島刑務所に服役中の星野受刑者は75年の逮捕以来一貫して無実を訴えているが、87年に最高裁が上告を棄却。しかしその後、当日着ていた服の色が異なるなど確定判決の矛盾が明らかになった。
会見で岩井信弁護士は法務省発表の最近10年間のデータを示し、「無期刑の受刑者で仮釈放されるのは年に5人から11人。一方で獄中死はその倍の数。星野さんのように30年から40年の受刑期間の人が209人いる」などと無期刑が終身化している実態を指摘。また、2009年の法務省通達で刑期30年を過ぎると「仮釈放審理」が義務づけられ、四国地方更生保護委員会で現在、星野受刑者の仮釈放審理が非公開で行なわれていると説明。しかし「弁護人の立会いも認められず、不服申立もできない」と制度上の欠陥を指摘した。
86年に獄中結婚をした暁子さんは「この間、星野はゴキブリを踏んだ足を洗ったとして96年に懲罰を受け、昨年5月には夕食後にお菓子を食べて懲罰を受けるなど、計7回に及ぶ恣意的な懲罰で2類から(仮釈放にならない)3類への降格処分を受けた。今回こうした刑務所内の人権侵害を国連に通報した。政治犯として獄中44年の星野をどうか救ってほしい」と訴えた。元参議院副議長を務めた角田義一弁護士も「憲法36条(残虐刑の禁止)に明白に違反する状況。星野君を1日も早く自由にすることが国民の責務だ」と述べた。すでに四国地方更生保護委には約1万7000人の「要望書」が寄せられているという。
(片岡伸行・記者、2019年3月22日号)