国会議員の代理投票、女性の権利で焦点
西谷玲|2019年4月29日4:52PM
なぜなのだろう。PTでは対象を妊娠中や出産直後の女性に限定している。国会議員たるもの、国会議事堂に出てきてこそ意味がある、という原則論はわかる。しかし、妊娠で体調を崩すこともあるだろうし、出産した直後だったらその国会議員の職務をしなくてもいいというのだろうか。最初から議論もしない、という姿勢ではあまりに世の中の潮流から外れているといえないだろうか。
冒頭に書いたように今年は統一地方選の年である。日本はまだ地方議会の2割に女性が一人もいない。そんな状況を変えようと、立候補の準備を進めている女性たちがいる。そういう女性たちも、妊娠、出産したらどうしろというのだろう。子どもを連れて議場に入り、厳重注意を受けた女性市議もいた。
当事者である加藤鮎子氏は、当事者であるがゆえに動きにくそうだが、ここは何といわれても後に続く女性のため、ということで自分の身をもって、代理投票の制度が必要なのだということを国会内外に強く訴えてほしい。少子高齢化の今、国会議員と子育てを両立する議員こそが先頭にたって政策を作ってもらいたいのだ。
その姿こそが議論を巻き起こし、共感あるいは批判を呼ぶだろう。そういうことがないと、この国の政治の土壌はなかなか変わらない。情けないことではあるが。
(にしたに れい・ジャーナリスト、2019年3月8日号)