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エンゲル係数でも忖度か
鷲尾香一|2019年4月29日5:16PM
このエンゲル係数が、第2次安倍政権に入ってから上昇している。2005年に2人以上世帯のエンゲル係数は22.9%と最低を記録し、その後は23%台で推移していたが、2013年から上昇を開始し、2016年には25.8%まで上昇、その後も高水準で推移している。
これは、アベノミクス政策によって、国民の生活が「苦しくなった」ことの証左とも言える。安倍晋三首相が自画自賛するように、失業率が低下し、名目賃金・所得が上昇しているのであれば、「エンゲルの法則」上は、エンゲル係数は低下しなければならない。
この点については、国会で野党が安倍首相を追及している。その時の安倍首相の答弁は、「(エンゲル係数の上昇は)物価変動のほか、食生活や生活スタイルの変化が含まれている」というものだった。
言い換えれば、総務省が「修正エンゲル係数」を作った理由である「所得が増加しても消費支出が減少した場合(安倍首相の言うところの食生活や生活スタイルの変化)、食料支出に減少がなければエンゲル係数は上昇する」ということになる。
そして、修正エンゲル係数は、アベノミクス政策以降も見事にエンゲル係数の上昇が抑えられた結果となっているのだ。
アベノミクスによりエンゲル係数が上昇したのではないかと問題視された途端に、それを否定するような「修正エンゲル係数」が登場することの摩訶不思議。そこには、安倍政権への“忖度”があるように思えるのは、筆者だけだろうか。
(わしお こういち・経済ジャーナリスト。2019年3月15日号)