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ねじれた国
雨宮処凛|2019年5月1日7:00AM
3月はじめに飛び込んできたニュースに、思わず耳を疑った。
東京都・福生の病院で、人工透析をしないという選択肢を示され、治療を中止した患者が亡くなっていたというのだ。しかも、終末期でない患者が20人も。死につながる提案を医者からされることは、「そこまでして生きたいんですか」という残酷すぎる問いに聞こえたのではないか。亡くなった人々や家族を思うと言葉が見つからない。
この数年、「社会の底がここまで抜けたのか」と愕然とする事態に何度も言葉を失ってきた。その背景にあるのは、「日本は少子高齢化で財源不足なんだから、命の選別をするのは仕方ない」というような空気が受け入れられつつあることだ。
アナウンサーの長谷川豊氏が「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担させよ! 無理だと泣くならそのまま殺せ!」とブログに書いたのは2016年。同年、「障害者は不幸を作ることしかできません」などと主張する若者が障害者施設で19人を殺害。そして昨年夏には、LGBTを巡る杉田水脈議員の「生産性」発言が大きな批判を呼んだ。