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『資本主義と闘った男』宇沢弘文
佐々木実|2019年5月4日7:00AM
新自由主義が時代を牽引する思潮に格上げされたのは1980年代からである。もっとも大きな理由として、英国のマーガレット・サッチャー首相(在任1979-1990)、米国のロナルド・レーガン大統領(在任1981-1989)が新自由主義的な政策を採用したことが挙げられる。
そして、サッチャー、レーガンがともに支持していた経済学者が、シカゴ大学教授を長くつとめたミルトン・フリードマン(1912-2006)である。
フリードマンは、世界に新自由主義思想を広めた「シカゴ学派」の領袖として知られていた。『Capitalism and Freedom(資本主義と自由)』(1962)、『Free to Choose(選択の自由)』(1980、妻ローズとの共著)は新自由主義のバイブルと呼んでもよいほど、熱狂的な読者を獲得した。
本の題名からも察することができるが、イデオローグとしてフリードマンが成し遂げたのは、「自由」の概念を変えたことである。
ところで、新自由主義を布教するに際して、フリードマンが恐れた日本人がいたことをご存知だろうか。ついに受賞することはなかったが、ノーベル経済学賞の有力候補といわれつづけた宇沢弘文(1928-2014)である。