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花はんめの桜本で
小室等|2019年5月14日5:41PM
三月二九日は「映画でみる“在日”」という上映会に、まだ観ていなかった映画『花はんめ』を観に行く。
この映画は冤罪被害者を取り上げた映画『SAYAMA みえない手錠をはずすまで』『袴田巖 夢の間の世の中』『獄友』の三部作を作った金聖雄監督の第一回作品(二〇〇四年)で、神奈川県川崎市桜本に暮らす在日コリアン一世のはんめたちの日常を四年間追いかけたドキュメンタリー。
はんめとはおばあさんのこと。日本でならさしずめ、「ばあば」かな?
金監督はまず、定期的にはんめたちが歌や踊り、会食などをして過ごす在日コリアン高齢者クラブ「トラヂの会」を撮りはじめる。一九四五年、日本が負けて戦争が終わり、在日一世たちは日帝の植民地支配から解放されたわけだが、ふるさとに帰れず日本で暮らさざるを得なかったはんめたち。
「楽しかった思い出は?」と聞かれ、「楽しかったことなんてなかった」と口を揃えて答え、これまた口を揃えてつけ加える。「ただ歌って、踊って、笑って…。今が夢のようだよ…」と。
カメラはトラヂの会から、桜本の路地に住む姉御肌の「清水の姉さん」の家に移動。六畳間ぐらいの清水の姉さんの部屋に、多いときには十数人のはんめたちが毎日のように集ってきて、ねえさんが常に用意するご飯を食べ、あっちでは政治の話、こっちでは下ネタと、笑いの絶えないおしゃべりに花が咲き、歌声が尽きない。