男女ペア立候補を義務化したフランス県議会
西谷玲|2019年5月14日5:01PM
統一地方選が始まった。前半の知事選は与野党対決は北海道だけで、保守分裂などがいくつかあるが、注目したいのは前半よりも後半の市町村議会選挙だ。
日本はよく知られている通り、政治分野での女性の進出が遅れている。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では、149カ国中110位。それだけでもうひどいありさまだが、政治分野に限れば125位という惨状だ。
もちろん国政も衆院議員の女性の割合は10・1%と非常に低い。市町村議会でみても、何と女性議員が一人もいない議会がまだ2割あるのだ。21世紀の現代にあって、である。なぜなのだろう。
原因はいろいろと考えられる。「政治は男のもの」という意識が根強く、団体などの基盤を持たない女性は立候補しづらい。支援者との間にセクハラなどの問題が起こりやすい(何度も耳にしたことがある)。たとえ自分に立候補の意思があっても、家族や周囲に「そんなことをするな。みっともない。近所の手前がある」などと反対される……。
確かに国政のハードルは高いと思う。東京と地元を往復しなければならず、子育てなど家庭生活との両立は難しい。とりわけ衆院の小選挙区制は徹底した「どぶ板」を強いられ、負担が大きい。
しかし、地方選はまったく違う。むしろ女性に親和性が高いといえる。なぜならば、政治課題は保育やゴミ問題、介護など身の回りの生活課題に密着したことである。くらしのことなら女性に、と安易にいうつもりはないが、やはり女性の関心が高く、取り組みやすいといっていいだろう。そういった問題に取り組み、解決への道筋がつけられるのだから、非常にやり甲斐のある仕事だろう。
しかも地域限定である。企業にも転勤のない「エリア総合職」というものがあって女性に人気があったと聞くが、地方議員は当たり前だが転勤がない。
かつて衆院議員を務め、今は徳島の県議会議員をしている高井美穂氏は「地方議員の仕事は女性に向いている」と常々語っている。