景気減速、日銀は追加金融緩和に踏み切るのか
鷲尾香一|2019年5月15日12:00PM
国債発行残高に占める日本銀行の保有比率が、大規模な金融緩和政策「量的・質的金融緩和」の開始以来、初めて低下した。
日銀が発表した2018年10-12月期の資金循環統計によると、国債発行残高に占める日銀の保有比率は12月末に42.99%となった。日銀の国債保有比率が低下したのは、27四半期ぶりとなる。
2012年のアベノミクス政策の柱である大規模な金融緩和政策は、13年に黒田東彦総裁が誕生するとともにスタートを切った。
金融緩和の中心施策は、国債の買入れ。日銀が国債を買い入れることで、市中に大量の資金を供給し、融資を活性化させるとともに、長期金利の低下を促した。
黒田総裁自らが「異次元緩和」と名付けたこの大規模緩和により、現在、日銀は「長期国債買入れ増加ペースを年間80兆円にする」という目標を掲げている。
日銀が主に買い入れている長期国債は期間が10年。つまり、発行されて10年経つと償還(満期)を迎える。政府の国債発行は、この償還を迎えた分を借り換える「借換債」と新規発行分となる。
国債は基本的に毎月発行されているため、日銀が買入れを行なって保有している国債にも毎月償還を迎えるものがある。
つまり、日銀が「長期国債買入れ増加ペースを年間80兆円にする」ということは、償還により保有残高が減少する分に加えて、新たに80兆円を買い入れるということになる。
金融緩和政策により、市場に流通する国債のうち、かなりのシェアを日銀が買い入れたため、民間金融機関などの国債保有額が極端に減少、国債の流動性に問題が発生するなどの“副作用”が出た。