「知る権利」に目隠しするドローン法案
阿部岳|2019年5月16日5:18PM
共謀罪は、五輪とテロ対策を名目に導入された。政府は同じ手法を使って、今度は基地を監視する小型無人機ドローンの目をふさごうとしている。規制を大幅に強化する改正法案が、すでに衆議院を通過した。
ドローンの登場は画期的だった。私たち沖縄のメディアにとっては米軍基地のフェンスを越え、活動実態を捉える手段になった。ヘリコプターよりコストが安く、頻繁に飛ばせる。低空から鮮明で迫力ある写真が撮れる。辺野古新基地建設の現場でも、工事の進展や環境破壊を報じてきた。
一方、米軍は法的規制がないことにいら立っていた。2017年、ハリス太平洋軍司令官が小野寺五典防衛相(いずれも当時)に対策を申し入れたのを受け、政府が検討に入った。
こうして出てきた改正案は、飛行禁止対象を現行法の首相官邸や原発から、全国にある米軍と自衛隊基地の上空に一挙に広げる内容になった。防衛省が指定する基地の上空を飛ばすためには、原則48時間前までに司令官の同意を文書で得て、警察などに通報することが必要になる。
規制を働き掛けた側である米軍が飛行に同意するとは考えられない。しかも、米軍に限っては提供水域と空域の上空も禁止対象に含まれる。問題は辺野古の現場だ。広大なキャンプ・シュワブ水域の中にあり、陸からも海からも一切近づけなくなる。注目度が高く、問題が続発する現場をドローンの目から隠す狙いが透ける。