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「セクハラ裁判」学習会
性暴力被害訴えた記者への長崎市の不誠実対応問う

西岡由香|2019年5月24日7:00AM

提訴の背景について説明する原告の弁護士ら。4月25日、弁護団と新聞労連が都内で開いた記者会見にて。(撮影/宮本有紀)

長崎県長崎市の女性団体などでつくる「ながさき女性・団体ネットワーク」が5月19日、「セクハラ裁判学習会」を開催し、長崎市が4月25日に女性記者から市幹部による性暴力についての対応で提訴された件をとりあげた。同裁判の代理人の1人である太田久美子弁護士も登壇。注目を集めた。

事件発生は2007年。あるメディアの女性記者が取材中、長崎市幹部から性暴力を受けたとして市側に被害を訴えたが、別の市職員が2人は男女関係にあったなどとする虚偽の噂を流布するという二次被害に遭う。しかも幹部男性が市の事情聴取後に自殺したことを理由に市側は事実上調査を終えてしまった。

被害女性からの人権救済申し立てを受けた日弁連は長崎市に対して「責任を認め、被害者への謝罪」「十分な再発防止策の策定」を求めたが、事件後12年間も同市が協議に応じなかったため、今年4月、女性は謝罪広告掲載と損害賠償を求めて同市を長崎地裁に提訴した。

太田弁護士は「非難しているのは市の対応の不誠実さ。加害者が亡くなったから、ではすまされない。本人も怖くてたまらないのに提訴にふみきったのは、二度と同じような被害者を出したくないとの思いから」と述べ、「長崎市が適切な対応をとらなかったために、被害者や加害者(の遺族)を再び公の場にさらすことになった」と市の対応を批判した。

自殺した幹部男性は平和行政に関わっていただけに、事件について触れようとしない被爆者や平和運動関係者もいる。複雑な思いはわかるが「市の姿勢に失望し、絶望し、今もなお苦しめられています」(提訴時コメント)という被害女性の血を吐くような訴えを放置していいのか。長崎市が平和都市を謳うなら、これ以上の不作為は許されない。

(西岡由香・漫画家。2019年5月24日号)

 

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