沖縄・米軍辺野古弾薬庫で大規模な「機能強化」工事
新藤健一|2019年6月1日6:11PM
核持ち込み密約は「現在も有効」
この4月、沖縄ドローンプロジェクトが撮影した画像と、衛星写真を見ることができるソフトGoogle Earthの最新映像とを比較、基地機能が着実に強化されていることが明らかになった。
大浦湾の西側、キャンプ・シュワブの高台に位置する弾薬庫地区は起伏に富み、施設は迷路のように配置されている。弾薬庫地区は8の字を描いたように南部と北部の2ブロックに分割されている。北部弾薬庫ヘリポート制限区域にある細長いT字型の特殊貯蔵庫1097棟を除いて、そのほとんどは覆土した半地下式だ。
キャンプ・シュワブのゲート前を通る県道329号からも海上からも崖に阻まれ一切見えない天然の要塞だが、問題もある。それは新空港建設の高度制限に抵触することだ。
確認できた改造中の貯蔵庫は、大浦湾の西側丘陵地帯にある弾薬庫南部の2カ所。1カ所では、古くなった半地下式の貯蔵庫が壊され、新たな施設を建設中だ。毒ガスなど化学兵器を貯蔵する施設番号1072棟南の敷地や1061棟、1062棟は壊され、その跡には地下深く掘り下げられた最新型の貯蔵庫2棟が完成した。
一方、施設番号1105棟、1084棟が接する谷間の斜面では地ならしが行なわれ、整地して新しい弾薬庫が構築された。新施設は地下に埋め戻されて周囲の道路も周回できるよう新たに付け加えられていた。
なお、2014年の在沖米海兵隊文書「自然資源・文化資源統合管理計画」によると海兵隊は「13の弾薬庫を取り壊し、12の新たな弾薬庫と武器の組み立て区画とする」と言及している。
返還前の沖縄には1954年以降、ピーク時で約1200発の核が配備された。核貯蔵施設は嘉手納(基地と弾薬庫地区)、那覇基地(空港)、辺野古弾薬庫だった。
米軍が辺野古新基地建設に固執する理由は「核持ち込みの密約」が現在も有効であるからという考えがある。しばらく使用していなかった弾薬庫地区で新たな改造工事が進行している事実は、その証左といえるだろう。
(しんどう けんいち・フォトジャーナリスト、2019年5月17日号)