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光州事件から39年、文在寅氏が市民“虐殺”を大統領として謝罪
文聖姫|2019年6月7日5:04PM
18日、韓国南西部の都市・光州は、朝から雨が降り続けていた。まるで39年前に犠牲となった人々を悼む涙のようだった。39年前の5月18日、全斗煥新軍部のクーデターに立ち向かった学生らを戒厳軍が鎮圧しようとして衝突。市民や学生らは27日まで民主化を守るために戒厳軍に抵抗したが、27日、新軍部に鎮圧された。「5・18民主化運動」だ。運動から39年を迎え、光州市内の国立5・18民主墓地で記念式が行なわれた。午前10時、文在寅大統領が国立5・18民主墓地に現れる頃には、雨はやんでいた。
「1980年5月、光州が血を流し死に行く時、光州とともにできなかったことを、その時代を生きた市民の一人として申し訳ない。当時、公権力が光州で行なった野蛮な暴力と虐殺について、大統領として、国民を代表してもう一度深く謝罪する」
文大統領は記念の辞で、公権力による暴力と虐殺行為を「大統領として謝罪する」と明言した。
また、「いまだに5・18民主化運動を否定し侮辱する妄言がはばかることなく大きな声で叫ばれている現実が、国民の一人としてあまりにも恥ずかしい」とも語った。
韓国では今年2月、野党・自由韓国党所属の国会議員が光州民主化運動と関連して、「5・18自体は暴動だったが、10年、20年後に政治的に利用する勢力によって民主化運動になった」(李鍾明議員)、「従北(北朝鮮に従う)左翼が大手を振り、5・18功労者という怪物集団を作り、われわれの税金を減らしている」(金順禮議員)などと発言し、遺族や関係者らの怒りを買っている。記念式には自由韓国党の黄教安代表も出席したが、怒りを抑えきれない市民らが黄代表を取り囲んだ。市民らは黄代表に焼香をさせないために道を遮り、「光州市民に謝罪せよ」などのスローガンを叫んだ。現場は一時騒然となった。
文大統領は、「5・18の真実は保守・進歩で分けられない。光州が守ろうとした価値がまさに『自由』であり『民主主義』であったからだ。独裁者の後裔でない限り5・18を別の目で見ることはできない」と語ったが、39年がたった今でも、光州民主化運動を冒涜する発言が国会議員から出る現状がある。
多くの人々が犠牲となった光州民主化運動には、虐殺の責任、ヘリコプターからの射撃、遺体遺棄、性暴力など、いまだに真相解明ができていない出来事も少なくない。昨年3月には「5・18民主化運動真相究明特別法」が制定された。同法に基づき、真相究明調査委員会が発足されなければならないが、いまだに発足されていない。
5・18記念財団前常任理事の金良來氏(63歳)は、「いまだに発見されていない遺体もある。真相究明が急がれなければならない」と語った。
(光州発=文聖姫・編集部、2019年5月24日号)