米軍機の危険性をネット投稿し“炎上”
沖縄保育園父母会に中傷相次ぐ
土岐直彦|2019年6月7日5:35PM
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)近くにある私立緑ヶ丘保育園の父母会が5月初め、園上空を米軍機が飛び交う危険な現状をフェイスブック(FB)に投稿したところ、誹謗中傷のコメントが相次いで「炎上」。父母から「怖い」との声が上がり、わずか1日余りで削除を迫られた。心ない中傷は、子どもの命を守ろうと懸命に活動する親たちを傷つけた。
緑ヶ丘保育園では2017年12月7日、円筒形のヘリ部品が屋根に落下。13日には、普天間第二小学校校庭にヘリの窓が落ちた。子どもたちに不安と恐怖が広がり、保育園では、卒園者も含めた「チーム緑ヶ丘1207」を結成。原因究明や米軍ヘリの園上空飛行禁止を国に再三再四要望してきたが、飛行は逆にひどくなっている。
たまらず「チーム緑ヶ丘」の与那城千恵美さん(46歳)が憲法記念日の5月3日、轟音をあげて園上空を飛ぶ米軍機の動画付きFBで呼びかけた。「平成は戦争のない平和な時代だったとよく聞く。これが平和?!(中略)あなたのお子さんやお孫さんの空がこの状況だったらどう思いますか?」。
この投稿に対し「こどもをダシに基地反対するな」「後から建てて保育園の空を守れっておかしい」「基地で潤ってる街もあんだろう」など、事実とは異なる中傷が約20件にのぼった。保育園を支援する対抗コメントも発信されて炎上。FB投稿は4日には削除された。
緑ヶ丘保育園と普天間第二小をめぐっては、ヘリ部品落下事故当時、中傷の電話とメールが殺到した経緯がある。ネット空間の攻撃性はなおも止まず、「チーム緑ヶ丘」の宮城智子会長(49歳)は「やるせない、悔しい。でも、それ以上に応援してくれる人がいることが励みになる」と話す。
「チーム緑ヶ丘」は署名収集や国・国会への要請、県内外数十回の講演・報告会活動など幅広く展開。「私たちは子どもたちのお空が小鳥だけが飛ぶお空になるまで諦めるわけにはいきません」とする。
(土岐直彦・ジャーナリスト、2019年5月24日号)