男女同数議会を目指して
英仏の取り組みに学ぶ
宮本有紀|2019年6月7日12:38PM
日本の女性議員割合は現在、衆議院10・1%、参議院20・9%、都道府県議会10%、市区町村議会で13・4%(衆参は2019年5月現在、その他は18年12月現在)。列国議会同盟の調査では193カ国中165位と国際的にも低く、政府も女性議員増加を目指すが成果が上がっていない。
内閣府男女共同参画局では、先進国でかつて女性議員が少なかったが近年増加している英仏の事例を日本の参考にするため、現地調査を昨年実施。その結果をまとめたシンポジウムが5月31日、東京都内で行なわれた。
英仏がそれぞれどのように女性議員を増やしたか。武田宏子・名古屋大学大学院教授が「英国は政権交代が起きると女性議員の数が増える」と実例を紹介。保守党に大敗した労働党が政権を取り戻すための党改革をしたという。それが「労働組合貴族に代表されるマッチョなイメージを変え、女性有権者の支持を拡大すること」だった。クオータ制導入を決めたが党内の反発で進まず、1993年に女性指定選挙区を導入。これは現役議員が引退し、前回選挙で当選者と次点候補の得票差が6%以内という当選可能性の高い選挙区を女性候補者にあてるもの。一度停止されたが復活。女性が候補になることを促す効果があるという。
2000年にパリテ(男女同数)法を制定したフランスの取り組みは村上彩佳・日本学術振興会特別研究員が報告。同国は比例代表制の選挙では男女交互名簿を導入し、国民議会選挙で候補者男女比が2%を超えると隔たりに応じて政党助成金を減額するなどの政策で確実に女性議員を増やしてきた。小選挙区制の県議会ではパリテが進まなかったが、15年に世界初の男女ペア方式を実施。男女ひと組で立候補(当選後は別々に活動)することで、確実に男女同数が当選することになった。
三浦まり・上智大学教授は各国の例からの日本への示唆として「党首が本気の姿勢を強く打ち出すこと、選定過程の透明化、議員養成トレーニングの実施、議員の働き方改革やハラスメント対策が必要」とし、男女均等に近いか遠いかで政党助成金を増減額するなどの制度改革の必要性も指摘した。
(宮本有紀・編集部、2019年6月7日号)