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『ViVi』自民党広告で炎上
甘利明氏と講談社の接点!?
岩本太郎|2019年6月20日4:42PM
【ダウンロード違法化拡大問題で接点が生まれた?】
それにしても講談社がなぜこうした企画を引き受けたのかについては、すでに背景を憶測する声が出始めている。前記「#自民党2019」の責任者は同党衆議院議員で現在は選挙対策委員長を務める甘利明氏だが、同氏はコミックなどのいわゆる海賊版対策をめぐり今春議論を呼んだ著作権法改正による「ダウンロード違法化」対象範囲拡大問題(本誌2月15日号参照)では自民党の知的財産戦略調査会長として関わっていた。
一方の講談社は前述の通りコミックも含めた出版業界の代表的な企業(経団連にも加盟)で海賊版の影響を最も受ける立場にもあり、同社の野間省伸社長がこの問題でも内閣府の知的財産戦略本部の会合を通じて関わっていた。ただ野間氏は2月に行なわれた講談社の決算報告会の席上、対象範囲拡大について「著作者の創作意欲を委縮させるようなことがあってはならない」と慎重な姿勢を表明。このあたりから世論の流れも「範囲拡大反対」に傾き、最終的に著作権法改正案提出が今春は見送られた経緯がある。今回の『ViVi』記事広告の背景には、このあたりで自民党と講談社の間に何らかの関わりが生まれたこともあるのではないか(同社広報室は問い合わせに対しこれを否定)。
もとより背景としては雑誌全体の退潮に伴なう出版業界の苦境も指摘されよう。『ViVi』も例外ではなく、現在の実売部数は6万3681部(日本ABC協会による2018年7~12月発売号調査データより)と、数十万部を誇った往時の勢いは見る影もない。ただ『ViVi』は他方、近年ではネットを使った若い女性層への訴求に成功し、それを広告営業面でも上手く活用した雑誌でもある。それだけに、若い有権者たちにアピールしたい自民党にそこを上手く活用された格好と言える。その意味では講談社に限らず、今後は他の出版社でも同様の事態が持ち上がる可能性を否定できない。きわめて悩ましい問題を今回の騒動は提示しているとも言える。
(岩本太郎・編集部、2019年6月21日号)