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元受験生、東京医科大などを提訴 
女性差別の理由求める

土村利夫|2019年6月25日9:57AM

訴状を掲げる河合弘之弁護士(中央)。(撮影/土村利夫)

医学部の不正入試で性別や年齢を理由に不合格と判定されたとして、元受験生が6月5日、東京医科大、昭和大、順天堂大を相手取り、予備校の学費や慰謝料など計約3600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

東京医大等差別入試被害弁護団と同問題の当事者と支援者の会は、同日、提訴の内容などを説明する記者会見を都内で行なった。原告は医療機関での勤務経験があり、受験当時20代だった女性。2018年度に3大学を受験し不合格となったが、その後、昨年12月から今年2月にかけ、東京医科大と昭和大からは2次試験に、順天堂大からは1次試験に、「合格していた」旨の通知を受け取った。原告は19年度、別の大学の医学部に合格し、現在は医師を目指して勉学に励んでいる。不正入試がなければ、余分な時間も費用も費やす必要がなかったのだ。精神的な被害も大きい。原告は「私は医師として適性がないのかと、悲しくなった」と胸のうちを明かした。

3大学に対し、原告は「なぜ私が差別されたのかをきちんと説明してほしい」と訴え、河合弘之弁護士は「被害を受けた人たちに償うとともに、自分たちが行なったことをはっきりさせてほしい。今後、このような不当な制度はやめてほしい」と断じた。

提訴について、会見後、筆者が3大学に取材したところ、東京医科大は係争中を理由に、昭和大と順天堂大は訴状を受け取っていないことを理由に、コメントは控えるとの対応だった。

不正入試は、医師を目指す高い志を持った人たちへの背信行為である。それが組織的に行なわれたものだけに、憤りを禁じ得ない。問題の背後には、男性のみを優遇する女性差別が深く根を下ろしている。「今年度の入試も終わり、この問題が風化されつつある」と原告が語るように、一過性の問題として終わらせるのではなく今後も原因究明と改善に向けた行動を起こしていく必要があるだろう。

(土村利夫・編集部、2019年6月14日号)

 

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