仲村未央・沖縄県議会議員に聞く
戦災調査からはずされ続けた沖縄
2019年6月25日7:58PM
対馬丸沈没もスルー?
――沖縄が米国に占領されて調査できなかったからでは?
私も最初はそう思いました。でも、調査はサンフランシスコ講和条約を締結する前からしているんです。沖縄が完全に切り離された段階でもない。だから調べようと思えばできたはずです。
そこには「広島、長崎の両県が東京に次いで多数の被害者を出していることは、原子爆弾による被害が大であったことを反映するものとして注目される」と書かれているんですね。これによれば「広島の如きは県民13名に1名の割で、被害を受けたことになり、長崎、東京もそれぞれ22名に1名。33名に1名という高い被害率を示している」となっている。
でも沖縄県民は、沖縄戦では4人に1人が犠牲になったと知らされてきたので、なぜ沖縄戦については無視するんだろうと思いました。疑問に思って調べていたら、総務省の「一般戦災ホームページ」でいまも見られますが、当時の総理府が(社)日本戦災遺族会(現在は解散)に委託して「昭和52、53(1977、78)年度」から「平成21(2009)年度」まで戦災実態を調査していたことがわかりました(10年度〜14年度は(株)NHKグローバルメディアサービスに委託し「追悼施設・追悼式」をまとめている)。
それは「全国戦災史実調査報告書」としてまとめられており、「空襲の被害」「学童疎開」「戦災孤児」「婦人」と毎年テーマを変えてずっと調査しているんですよ。沖縄は1972年に復帰してますから、沖縄戦の被害調査はどのようになっているかなと読んだら、たとえば77年の空襲の調査で「1都市において100人以上の一般戦死者を出した都市」が74都市あり、北海道から鹿児島までありますが、沖縄が出てこない。
沖縄でも那覇や宮古などで空襲があり、100人以上の犠牲も出ているのに、なぜ沖縄の空襲は調べないのだろうと思いました。それでほかの年度も調べたら、どの調査にも沖縄が入ってないことが判明したんです。