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ヘイト解消法受け神戸市が条例制定 
自民の反対覆させた市民運動

平野次郎|2019年7月2日12:05PM

警官隊に守られ進むヘイトデモ。2018年6月、神戸市で。(撮影/平野次郎)

神戸市議会は6月5日、外国人に対する差別解消と多文化共生社会の実現に関する条例案を全会一致で可決した。ヘイトスピーチを規制する条例は2016年1月に大阪市が初めて制定し、同年6月施行のヘイトスピーチ解消法を受けた制定は東京都に次ぎ2例目。

神戸市の条例は国際都市の特色を生かして多文化共生を謳い、解消法が差別的言動に限定しているのを外国人に対するあらゆる差別に広げて解消することを目的とし、相談体制の整備、教育の充実、啓発活動など必要な取り組みを行なうよう努めるとしている。

神戸市では、市民団体の「すべての人に尊厳と人権を!ヘイトクライムをなくそう!神戸連絡会」(以下、連絡会)が在日外国人の差別実態調査などを進める一方、17年3月に市議会の日韓友好議員連盟が議員提案による条例制定をめざして始動。だが条例案づくりは自民会派の反対で困難になり、議員有志による条例制定をめざした。連絡会はヘイトスピーチ動画を編集したDVDを各議員に配るなどして条例づくりを後押し。19年3月に自民を除く議員36人による条例案提出までこぎつけたが、自民、維新会派が廃案を狙って委員会審議を引き延ばし継続審査となった。

統一地方選挙をはさみ議員任期の6月10日までに採決しなければ廃案になることから、条例案提出議員らは3月20日の本会議に委員会の審査期限を延期する議案を提出。廃案阻止を狙った議案はヤジが飛び交う激しい論戦のすえ僅差で可決された。

これに対し自民会派は5月に修正案を提出した。主な修正は、表現の自由を侵害するとの理由で第2条の「相談体制の整備」の条文から「紛争の防止又は解決を図る」を削除。ヘイト勢力を利することになりかねないが、原案提出議員らは全会一致を前提に修正案を受け入れた。こうした土壇場で自民の条例反対を覆させたのは連絡会など市民運動の働きが大きい。

(平野次郎・フリーライター、2019年6月21日号)

 

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