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〈参院選公示前緊急対談〉
消費税減税を野党は打ち出せ
雨宮処凛 中島岳志|2019年7月3日6:02PM
新しい層を取り込むには
中島 現在の山本さんには、2年前の立憲民主党代表の枝野幸男さんとの同一性と差異があります。2年前、希望の党ができて小池百合子さんと結びつき、もう選択肢がなくなったと思っていたところに、「枝野立て!」という声を受けて枝野さんが出てきました。そこには「物語」があったのです。
しかし、立憲民主党は今回の選挙に向けて「物語」を創り出すことに失敗していると思います。「物語」は「野党結集」「消費税」の二つだったと思うのですが、両方中途半端です。
山本さんは、枝野さんと同じように1人で立つ、大きな壁に向かっていくんだというのは共通しています。しかし、枝野さんの声が届かなかったところにまで届いている点が大きな違いだと思います。一つは若年層、一つは保守層です。若年層と同じく、保守層もお金に困っています。田舎の保守層、特にJC(日本青年会議所)関連とか、駅前商店街はみんな行き詰まっていて、今、消費税を上げられたら打撃が大きい。
自民党に投票し続けてきたが、暮らしは苦しくなって、TPP(環太平洋戦略経済連携協定)まで推進されて、フラストレーションがたまっていたところに山本さんが出てきた。しかもある種のヤンキーっぽいスタイルで、一緒に祭りの神輿をかついでいそうな山本さんの主張は、とても響くのですね。
雨宮 山本さん、中卒ですし、いわゆるエリート政治家ではない。
中島 そこから情熱を持って勉強してきた、そして弱い者をいじめるのは許せない、という姿も共感しやすい。
雨宮 地方のやんちゃな人。ダンス&ボーカルグループのEXILEファンとかにも人気がある。
中島 そういうところに、山本さんの手が届くとするならば、立憲民主党は彼を恐れる必要はまったくないですし、むしろ自分たちが手が届かなかったところを取り込んで補填していると見るべきです。相互補完的関係と考えた方がいい。
雨宮 選挙に行ったことがない人を掘り起こすことができる。左派、リベラルだけでなく、山本さんを好きという右翼の人も多いですし、政治嫌いなスピリチュアル系女性などの支持者がいたり幅広いです。
中島 だから、共闘できる方法を考える必要があります。
山本さんが街頭で1時間半から2時間、モニター使ってレクチャーをしているところを立ち止まって聴いているのは、たまたま通りかかった人が多い。「なんとなく2時間、見ちゃった」という人たちなんですよ。これは大きいです。200人、300人がじっと暑い中、山本さんの演説を聴いている。見くびってはいけないと思います。