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DNAデータの削除求め初の提訴 
法律なく採取・保管は違憲

片岡伸行|2019年7月8日10:25AM

提訴後に名古屋地裁内で記者会見を行なう弁護団。(提供/川口創)

電柱にチラシを貼っただけでDNA採取――。警察庁が法律に基づかずDNA型データを採取し、捜査終了後も保管し続けているのは違憲・違法だとして、愛知県名古屋市に住む50代の女性が6月13日、国(警察庁)に対してDNAデータの削除などを求める初めての裁判を名古屋地裁に起こした。

訴状によると、女性は殺処分される犬猫を保護し里親に引き渡すボランティア活動をしていたが、里親に引き渡す犬が逃げてしまったため、2014年6月に天白区内の電柱に行方不明の犬の情報を求めるチラシを貼ったところ、警察から「条例違反だから出頭を」と求められ、天白警察署で取り調べを受けた。その際、警官から、拒否することができるという説明も一切なく、問答無用に「顔写真、指紋、DNA」を採取された。

しかしその後、女性は「不起訴」となったことから、同年11月ころ、天白署に写真・指紋・DNAデータの削除を求めたが、廃棄したという報告は一切受けていないという。このため女性は、「被疑者」として自己の情報が警察によって管理され続ければ、政治的活動を含めた自由な市民生活が萎縮・阻害されるとして、国に採取されたデータの抹消と150万円の慰謝料の支払いを求めた。

訴訟代理人の川口創弁護士(名古屋第一法律事務所)は「きわめて軽微な事案・事件でも、法的な根拠のないままDNAが採取され保管されているのは異常」とし、憲法13条(個人の尊重)、同31条(適正な法手続きの保障)などに反すると述べている。

警察庁は2005年からDNA型データベースを開始し、18年末現在で被疑者と遺留物など累計で121万件超を登録しているが、その採取や保管・抹消に当たっては「DNA型記録取扱規則」があるだけで、諸外国にあるような法律が整備されておらず、問題視されていた。

(片岡伸行・記者、2019年6月28日号)

 

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