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『朝日新聞』広告拒否問題で謝罪 
出版社抗議で一転掲載

岩本太郎|2019年7月11日12:15PM

『朝日新聞』6月22日付朝刊に掲載されたインパクト出版界の広告。『鎮魂歌』も無事紹介された。

『朝日新聞』の土曜日朝刊「読書」面の下に出稿が予定されていた新刊広告が、その書籍の内容を理由に掲載を直前に拒否される(後日改めて掲載)事態が発生した。

死刑囚の手記や「慰安婦」問題など少数者の側に立つ出版活動で知られるインパクト出版会(東京都文京区)より5月23日に発売の『鎮魂歌(レクイエム)』がそれだ。著者の堀慶末氏は2007年に中部地方で発生した強盗殺人・死体遺棄事件(通称「闇サイト事件」)での罪による無期懲役(12年7月に最高裁で刑が確定)受刑者。余罪では一・二審で死刑判決を受けている。現在では贖罪の思いを表明しており、その思いに基づく手記として執筆された今回の作品は17年に「死刑廃止のための大道寺幸子・赤堀政夫基金」主催の表現展に応募のうえ、特別賞を受賞している。ところがその刊行開始を版元のインパクト出版会が5月25日の前記「読書」面下に掲載の広告の中で他の書籍と一緒に行なおうとしたところ、2日前の同23日朝になって突如『鎮魂歌』の書名を他の本に差し替えてほしいとの電話が広告代理店を通じて同社に入った。インパクト出版会代表の深田卓氏によれば、著者が現在は受刑者の立場で「未だ罪を償っていない」ことなどを理由に『朝日』の広告部門の審査を通らなかった、との説明だったとか。

過去にも死刑囚の手記を刊行し、その広告を『朝日新聞』に掲載した実績があったインパクト出版会は、当然それも示したうえで予定通りの掲載を訴えるも、やはり代理店のN社経由で返ってきた答えは「その時々の判断で決める」。直接交渉すべく『朝日』の広告担当者の名前を尋ねても「ニュースソースは教えられない」との珍回答で拒まれたとか。やむなく同社など主に中小出版社が加盟する一般社団法人日本出版者協議会(出版協)に相談を持ち込んだところ、6月3日に同会の水野久会長(晩成書房代表)名で「朝日新聞社広告部による新刊広告掲載拒否に抗議する」と題した声明が公表された。

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