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フィリピンの農園労働者が劣悪な労働環境訴え
「スミフルバナナを買わないで」
2019年7月17日8:39PM
「甘熟王」で知られ、日本のバナナ販売でシェアナンバーワンの「スミフル」(旧・住商フルーツ)のバナナ。しかしフィリピン・ミンダナオ島にある同社のバナナ農園や梱包工場では、労働者たちが劣悪な労働環境で働かされ、改善を要求する労働組合員には放火や暴行などの人権侵害が行なわれている。その実態を知ってもらおうと、労働組合「NAMASUFA」(Nagkahiusang Mamumuo sa Suyapa Farm)のメンバー2人が6月17日~24日に来日、関係企業への面会や、日本の消費者に支援を求めた。
【対話に応じないスミフル】
来日したのは同組合委員長のポール・ジョン・ディソン氏と、同理事のジャミラ・セノ氏。ディソン氏は自宅に銃弾を撃ち込まれたり、放火される被害を受け、自宅は2018年12月の放火で全焼、家族は別の地域への移動を余儀なくされた。また組合員の中には、銃撃され亡くなった人もいる。
「私たちはスミフル・フィリピンに対して、(1)要件を満たす人は正規雇用にしてほしい、(2)団体交渉権を認めてほしい、(3)嫌がらせや脅しなどの人権侵害行為をやめてほしい――の3点を10年以上要求しています。しかしスミフル側はまったく応じようとしません。そのため18年10月から、七つの梱包工場でストライキを行なっています」(ディソン氏)
フィリピンの労働法では、雇用が6カ月と1日を超えたら正規雇用にしなければならないと規定されている。17年にはフィリピンの最高裁で、スミフル・フィリピンと労働者は直接の労使関係にあると認められた。しかしスミフル側は法の規定にしたがわず、労働者の多くは不安定な雇用関係に甘んじている。なかには19年間契約なしで働いていたり、5カ月間の短期雇用を繰り返している人もいるという。
雇用だけでなく、長時間労働など労働環境も問題だ。
「私はバナナの大きな房を小分けするスライサーという仕事をしているのですが、長時間、立ったままで働かなければなりません。ピークシーズンになると、朝7時から夜10時半まで立ちっぱなし。休憩は昼食1時間、3時に15分、6時に30分――それだけです。
それに加えて、トイレもなかなか行きづらい。トイレに行くときは出た時間と戻った時間を記録しなければならず、ちょっと時間が長くなると、給料からその分、引かれます。なのでトイレを我慢して、尿路感染症などの病気になる人もいます」(セノ氏)