戦略特区で得をするのは誰か
佐々木実|2019年7月20日5:39PM
加計学園問題で再三問題を指摘された国家戦略特区をめぐり、またも問題が発覚した。利益相反行為を指弾されたのは、国家戦略特区の規制改革案を審査するワーキンググループ(WG)の座長代理をつとめる原英史氏だ。
『毎日新聞』(6月11日付朝刊、編注)によると、原氏と協力関係にあるコンサルタント会社「特区ビジネスコンサルティング」(以下『特区ビズ』)が、規制改革の要望を出した福岡市の美容系学校法人から約200万円のコンサル料を受け取っていた。
学校法人は、日本の美容師資格を持ちながら国内で就労できない外国人が特区で働けるよう規制緩和を要望している。審査する立場の原氏が、『特区ビズ』の社長とともに審査される側の学校法人幹部とたびたび面談していたという。
原氏と『特区ビズ』が規制緩和提案者の相談に乗り、その見返りに『特区ビズ』がコンサル料を得る。典型的な“規制緩和ビジネス”に、国家戦略特区の実務の中心にいる原氏が関与していたわけである。
2015年1月に設立された『特区ビズ』は、原氏が代表をつとめる政治団体「土日夜間議会改革」と同じマンションの一室にあり、『特区ビズ』社長は原氏の政治団体の事務も担当していた。『特区ビズ』は15年から翌年にかけて数十件もの特区提案に関与したという(『特区ビズ』は現在は「イマイザ」に商号変更)。
国家戦略特区という制度の提唱者は、竹中平蔵氏だ。特区諮問会議の民間議員におさまっている竹中氏のもとで、当初から制度設計に関わっていたのが原氏である。
元経産官僚の原氏は渡辺喜美行革担当相の補佐官として行革に携わった。経産省を退職後、竹中氏を親玉とする規制緩和推進勢力に迎え入れられた格好だ。