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握手って……

小室等|2019年7月20日5:50PM

昨年末、「第8回東京乾電池年忘れライブ『GWAN&順平&等』」(アトリエ乾電池)に呼ばれた。これは東京乾電池の座長、柄本明さんが、二〇〇五年に亡くなった高田渡さんの意をついでプロデュース、GWANこと佐藤博さんと佐久間順平さんが牽引して開催されている恒例ライブ。第八回はゲストが僕と、「いつものプチゲスト」なる山口ともこさん。

あの山口智子さんではなく、東京乾電池の女優で歌うたい、逸材だ。一曲、柄本さんの飛び入りも。柄本さんは秋に奥方を亡くした直後で、みんな心はしんみり、舞台はたのしくの会であった。

そんなことがあったものだから、六月のある日、渋谷の映画館ユーロスペースで『兄消える』を観たあとにロビーでばったり柄本明さんに出くわし、「やあ、どうも」と思わず握手の手を差し出していた。受ける柄本さんの握手は、心なしかぎこちない。

そうだよ、やたら握手したがる奴っていかがわしいよね。自分でもそう思っているくせに、習慣的に握手の手を出す癖がついている。柄本さんの握手は、ジェントルできわめて友好的だったんだけど、僕が無神経だったかも。

前の月の五月二四日は、東京国際フォーラムで井上陽水さんのコンサート。出会わせたロバート・キャンベルさんは、ボブ・ディランのラジオ番組をご一緒した仲で、そのうえ携帯なさっていた上梓したての『井上陽水英訳詞集』(講談社)をいただいたりで、別れ際にこれは屈託なしに手が出た。キャンベルさんも握手の国から来た人だから、実にネイティブな所作で、まったく日常のひとこまだった。

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