破壊と離別の時代が来るのか
浜矩子|2019年7月21日12:00PM
グローバル化が進む中で、米中間でも経済的な相互浸透が大いに進んだ。アメリカ企業が製品を中国でつくれば、メイド・イン・チャイナのアメリカ製品が誕生する。メイド・イン・アメリカのアメリカ製品の中にも、メイド・イン・チャイナの部品や素材が組み込まれていたりする。中国市場で発生する需要を計算に入れなければ、アメリカ企業の商売はもはや成り立たない。中国企業にとっても、アメリカ市場は基幹市場だ。かくして、米中経済はもはや不可分の関係にある。一体化している。
もはや、アメリカとチャイナが別個に存在するのではない。あるのは、「チャイメリカ」という一つの経済だ。そこまで言われるようになっていた。
ところが、ここにきての米中貿易摩擦と技術戦争の中で、チャイメリカを切り裂き、分断する「ディカップリング」の力が働き始めた。そう取り沙汰されるようになっている。
この場合の「ディ」には、「離」がふさわしいだろう。分離の離。離別の離だ。カップルが別れて、離婚する。これぞ、まさに「ディカップリング」にほかならない。
グローバル化の進展は、国境を越えた連鎖と融合をもたらした。この流れが、いまやせき止められようとしているのか。連鎖の絆は破り去られ、融合ならぬ遊離が始まってしまうのか。次にはどんな「ディ」が出てくるか。怖がりながら、注目していよう。
(はま のりこ・エコノミスト。2019年6月28日号)