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岩屋毅防衛相、ミサイル配備で揺れる山口県阿武町に“暴言”
横田一|2019年7月26日11:59AM
岩屋毅防衛大臣は7月3日、山口県庁で村岡嗣政知事や花田憲彦・阿武町長らと面談。角度計算ミスなどが発覚したイージス・アショア配備計画の調査報告書の誤りなどを謝罪した。山口県でも防衛省の調査報告書に高台の標高値にズレがあることが発覚し、不信感が募っていたためだ。だが「むつみ演習場」(萩市・阿武町)を適地とする方針は不変で、自衛隊員移住が地域振興にプラスとの暴言が岩屋氏から出た。
「自衛隊の施設が新たにできると、隊員二百数十名、家族を入れると数百名がご当地でお世話になります。町に溶け込み町づくりに少しでも加勢ができるようにしたい」
これに対し花田町長は「自衛官が来るから地域振興になるという考えではない」「住民の生活圏に隣接すること自体が間違っている」と軍事的な地域振興を否定した。
日本海に面する阿武町(人口約3300人)はIターンやUターン推進や子育て対策などの定住対策を進め、社会的人口減をほぼ食い止めることに成功したモデル自治体。冒頭で謝罪をした岩屋氏に、花田氏が「Iターン者から『ミサイル基地ができたら町から立ち去る』という声もある。町が取り組む生き残りをかけた定住対策を根底からひっくり返す。人口の急激な先細りを誘発し、町の存亡にかかわる」と訴えたのはこのためだ。
昨年9月にはイージス・アショアの配備計画撤回を求める請願書が町議会で採択され、自民党員の町長も反対表明。配備反対の「阿武町民の会」には町の有権者の半数以上が入っていた。
2017年11月のトランプ大統領の要請を安倍晋三首相が快諾。翌月にイージス・アショアの2基導入が閣議決定されたが、防衛に有効か疑問視されている。
安倍政権は「地方創生」を掲げるが、国策ゴリ押しで住民が立ち去りたくなる地域を作り、少子高齢化を食い止めたお手本のような阿武町を潰そうとしているのだ。
(横田一・フリージャーナリスト、2019年7月12日号)