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「表現の不自由展・その後」中止、
「中止が中止になる事態」望む声も

井澤宏明|2019年8月4日8:41PM

実行委、「法的手段含め再開求めてゆく」

「展示が再開できるよう、どうか皆さん連帯して下さい」。インタビューに答える安世鴻さん。(4日、名古屋市内で。撮影/井澤宏明)

一方、「表現の不自由展・その後」実行委員会のメンバーのうち3人も会見し、「圧力によって人々の目の前から消された表現を集めて、日本の表現の不自由状況を考えるという企画を、その主催者が自ら弾圧するということは、歴史的暴挙と言わざるをえません」と抗議声明を読み上げた。実行委は、展示の再開を求め法的手段も検討していくという。

4日の会場には、「表現の不自由展」に元「慰安婦」を撮影した作品を出品した韓国人写真家の安世鴻(アン・セホン)さんも訪れた。安さんは通訳を交えたインタビューに答え、「このような公式な場に展示できることになって、うれしく、日本社会の発展を感じたが、今回の中止決定を聞き、日本の閉鎖性を見る思いがした」と、残念そうに語った。

安さんが撮影した中国に置き去りにされた朝鮮人元「慰安婦」の写真作品を巡っては2012年、東京のニコンサロンで写真展の開催が決まっていたものの、1カ月前になって中止が通告され、仮処分決定を経て開催にこぎつけた経緯がある。その後、3年に及ぶ裁判で、写真展開催に抗議する勢力に対するニコン側の過度な「自主規制」が明らかになった。

今回の中止について安さんは、「展示は芸術家だけの空間ではなく、観客と意思を通じ、シェアしていく場所。そのような場所を、権力や見えない権力に奪われ、観客の自由も奪われていく。観客の『知る権利』も侵害している」と非難した。

さらに、中止を決めた津田氏へのメッセージとして、「津田さんも私も、一人ひとりの人間は大きな力を持っているわけではない。多くの人が津田さんに力を与えて、中止が中止になる事態になればいい」と力強く語った。

「表現の不自由展」を巡っては、会場を訪れた実行委会長代行の河村たかし名古屋市長が2日、大村知事に対し、「慰安婦問題などに関する展示の中止を含めた適切な対応を求める」とする抗議文を提出。菅義偉官房長官も2日の会見で、トリエンナーレへの補助金の見直しに言及した。

(井澤宏明・ジャーナリスト)

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