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化学物質過敏症などで進学困難な中学生が文科省に要望書

加藤やすこ|2019年8月6日10:09AM

【海外では学校の無理解から自殺に追い込まれた少女も】

この要望書には、過敏症の患者会や障がいのある子どもを支援する市民団体など11団体をはじめ、過敏症患者や医師、研究者、弁護士などを含む107人からの個人賛同も集まった。また、EHSやMCSの研究で世界的に著名な研究者や国会議員、市民団体の代表者など11人が賛同した。

海外でも学校に行けない過敏症の子どもたちがおり、問題になっている。イギリスでは2015年にEHSを発症したのに学校側に理解されず、無線LANのある教室での勉強を強要され、自殺した少女もいる。

日本で学校無線LANの本格的な導入が始まったのは2014年以降で、すべての普通教室に超高速無線LANを設置する方針だ。

しかし、経済協力開発機構(OECD)が12年に行なった調査では、学校でのコンピューター利用頻度が高いほど、成績が低下した。また、電磁波に被曝すると発達障がいや自閉症の症状が悪化するという研究も発表されている。

そのため、米国のオレゴン州では子どもや教職員の健康を守るために、学校無線LANの有害性を各校に知らせ、有線などを利用して被曝を最小限にするよう求める法案を6月上旬に採択した。欧州では無線LANの利用を禁止・制限したり、学校や職場に香料を持ち込まないよう求める自治体や国もある。

電磁波の健康影響に詳しい米国の研究者シンディ・セイジさんとデビッド・カーペンター博士は、悠汰君のために意見書を提出。「学校の無線LANは生徒の神経的な損傷、学習や記憶力の低下、成績悪化やガンの長期的なリスクを高める」、既存の規制を「遵守するだけでは法的な責任を回避できない」とセイジさんは訴えた。

(加藤やすこ・ジャーナリスト、2019年7月19日号)

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