女性役員増やす国際的取り組み──「30%クラブ」日本で始動
小嶋麻友美|2019年8月6日6:02PM
企業のトップ主導で女性役員の比率の拡大を目指す国際的な取り組み「30%クラブ」が日本でも始動し、7月14日に東京都内で発足イベントが開かれた。大手上場企業や投資会社、大学のトップら37人が会員に名を連ね、資生堂の魚谷雅彦社長が「30%クラブジャパン」の会長に就任。経済界内部から変革を目指す。
「30%クラブ」は英国で2010年に創設され、現在は日本を含め14の国・地域で展開。その名の通り女性役員比率の3割達成を目標に掲げ、意思決定層が多様であることはビジネスの課題だとして改善を促す。日本では東証一部に上場する主要100社で、18年の7・6%から30年までに30%に押し上げることを目指している。
記者会見で魚谷氏は「日本の経営者もこの5年、10年でかなり変化した。企業が生き残って成長、発展するためには、ダイバーシティ(多様性)が非常に重要だと捉える人は多い」と説明。「日本の事情に応じた独自の解決策を、経営者の方々と本音で議論しながら見いだしていきたい」と意欲を語った。資生堂自体は17年に女性役員3割を達成し、現在、11人中5人が女性の“先進企業”だが「まだやらなければならないことはたくさんある。失敗談や課題も共有したい」と話した。
キャンペーンマネージャーの只松美智子氏は「数合わせではなく、適切なスキルや経験のある人がトップにつくべきだ」とし、人材の育成、登用のパイプライン強化にも力を注ぐと説明した。投資家やメディアのグループも設置され、女性登用の実例や効果を共有して、投資先企業や世論にアピールするなど重層的な施策で女性役員の拡大を後押しする。
昨年の全上場企業の女性役員比率は約4%。「女性活躍」を掲げる政府の後押しもあり、5年間で倍に伸びたが、他の先進国との差は依然大きい。「いろいろな機関を巻き込み、変化のスピードを加速させたい」と只松氏は話す。
(小嶋麻友美・『東京新聞』記者、2019年8月2日号)