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徴用工問題めぐり韓国と貿易紛争へ 
根拠乏しい「官製ヘイト」

角南圭祐|2019年8月7日5:11PM

首相官邸。(撮影/編集部)

参院選が始まった7月4日、日本政府は韓国向けの半導体製造材料3品目の輸出規制を強化する強硬策に踏み出した。韓国政府は世界貿易機関(WTO)への提訴を表明。歴史認識の違いを背景とした隣国との対立は、貿易紛争という新たな段階に入りつつある。

安倍晋三首相は3日の党首討論で、「元徴用工や慰安婦問題で約束を守れない中では、今までの優遇措置は取れない」と述べ、歴史問題への報復であることを認めた。7日のフジテレビの番組では「韓国は『ちゃんと制裁を守っている』『ちゃんと貿易管理をしている』と言っているが、徴用工問題で国際約束を守らないことが明確になった。貿易管理も守れないだろうと思うのは当然」と述べ、規制が対北朝鮮制裁と関連していることを匂わせた。

対する韓国の文在寅大統領は10日、日本政府の措置を「根拠もなく北朝鮮制裁と関連させている」と批判。さらに15日、「半世紀にわたって積み重ねてきた韓日経済協力の枠組みを破壊するものだ」「結局は日本経済に大きな被害が及ぶことを警告しておく」とトーンを上げた。韓国野党は文氏の無策による関係悪化だとして政府を責め立てる。発端となった徴用工問題の解決策は全く見えないままだ。日本側が追加措置を取ればさらなる泥沼化は避けられない。

日本政府は3品目の輸出規制に加え、輸出手続きを簡略化する「ホワイト国」指定から韓国を外す方針も示している。ホワイト国指定は兵器拡散の恐れがない友好国への優遇措置で、韓国は2004年に指定。16年には防衛上の機密情報を共有するための日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も締結しており、韓国は日本にとって日米同盟、米韓同盟を挟んだ準同盟国でもある。しかし、安全保障問題を理由としたホワイト国指定の解除は、東アジアの平和バランスまで崩しかねない。

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