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外交の安倍は本当か
西谷玲|2019年8月11日3:13PM
評価はいろいろあるにしても、日米安保条約は成立後一貫して日本外交の基軸だった。それに伴ってガイドラインや周辺事態、集団的自衛権の解釈変更にまで踏み込んできた。
こうした経緯をどれだけトランプ氏は理解しているのだろうか。いや、安倍首相は、彼に理解させるために努力をしてきたのだろうか。それとも、安倍首相もトランプ氏と同じ考えなのか。
安倍外交のほころびはそれだけではない。ロシアのプーチン大統領ともG20に合わせて会談、両者の会談は26回を数える。昨年末までに平和条約を締結しようという動きがあったものの、まあ無理筋と思えたが、やはり無理であった。日本は事実上歯舞、色丹の二島に絞っての交渉を試みたが、結局うまくいかなかった。
さらに北朝鮮との関係である。安倍首相は今、前提条件なしに金正恩朝鮮労働党委員長との会談をめざすという。強硬姿勢の180度転換である。
外交はいろんな状況の変化によって柔軟に対応するものだからそれはいい。しかし、拉致問題については、人命がかかっているものなのだから、多くの選択肢をもっと早期に検討すべきではなかったか。これが5年早ければ、そして第1次政権の時であれば、状況はずいぶん違ったのではないかと思うのである。
今回のトランプ氏の北朝鮮入境にしても、G20で文在寅韓国大統領をお粗末に扱ったせいもあるだろう。日本はすっかり蚊帳の外だった。
本当に外交の安倍、なのだろうか。
(にしたに れい・ジャーナリスト、2019年7月5日号)