『活動家健康法』
雨宮処凛|2019年8月14日7:00AM
参加者は次々とマイクを握り、自身が遭った性被害などを語る。時に涙し、時に怒りを共有し、時に抱き合って号泣する女性たち。さまざまな体験をシェアし、癒し合うという奇跡のような空間が出現している。みんなが花を手にし、プラカードには「裁判官に人権教育と性教育を!」「性暴力を許さない」「#MeToo」などの文字。3回連続参加しているのだが、参加するたび、勇気をもらう。
その2日後には、東京・高円寺で開催された「香港加油(がんばれ)」に参加。ご存知、香港の巨大デモを応援しようという集まりだ。同日、渋谷には約2000人が集まったそうだが、高円寺にも数十人が集結。その中には香港人、中国人、台湾人もいて、それぞれに思いを語った。駅前の路上に散らばる「反送中」「守護香港 我支持香港」などのプラカード。アジア人との交流を多く持つ高円寺の「素人の乱」の人々は、その後、すぐに応援のため香港に渡航した。そうして6月23日には、エキタスのデモに参加。「最低賃金1500円に上げろ!」と新宿を練り歩いた。
このようにデモにばかり行っていたら、嬉しいことに2キロ痩せた。ということで6月末には『雨宮処凛の活動家健康法』を出版。「デモで健康になった!」「喘息や高血圧が治った!」とかの話ではない。世界に対する無力感が私にとっての大きな生きづらさで、だけど世界を少しでもマシにしようと活動を始めたら、自殺願望もなくなり、生きるのが楽になっていた、ということを書いた一冊だ。
だけどちょっと、活動は「美容と健康」にもいいと思っている。
(あまみや かりん・『週刊金曜日』編集委員。2019年3月22日号)