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小学校教科書、都教委の政治色濃い調査項目に批判の声

永野厚男|2019年8月14日3:39PM

日本文教出版『小6社会』は1ページを使い神話を掲載した。

全国の教育委員会が8月末までに来年度使用開始の小学校教科書の採択を行なうのを前に、東京都教育委員会が6月下旬、区市町村教委宛「教科書採択の……指導、助言又は援助の一環」と称し送付した、『教科書調査研究資料』(以下『資料』)の政治色濃い調査項目設定に、現・元教職員や保護者ら市民から批判の声が上がっている。

『資料』はまず「社会」教科書の「調査項目の具体的な内容」に(1)領土問題、(2)国旗・国歌の扱い、(3)神話・伝承、(4)拉致問題、(5)防災や自然災害の扱いなどを明記。

項目設定理由を(2)「学習指導要領に基づき、国旗・国歌に対する正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てることが大切であることから」、(3)「学習指導要領では、第6学年の歴史学習で大和朝廷による統一の様子などを通して、むらからくにへと変化したことを学習するに当たって、神話・伝承を手掛かりに、国の形成に関する考え方などに関心をもたせることなどを求めているため」と説明。(5)は自衛隊記述も調査する。

『資料』はこの後、社会を発行する3社(東京書籍・教育出版・日本文教出版)の(1)~(5)の記述をそのまま引用し掲載している。

研究団体・教育行政研究会は『資料』公表前の6月13日、(1)~(5)の調査項目を設定しないよう請願を提出。だが都教委は7月13日、「厳正かつ客観的に調査研究を行い、各教科書の違いが明瞭に分かるよう教科書調査研究資料を作成しています」と、正対しない回答を郵送してくるに留まった。

(3)は「武勇にすぐれたヤマトタケルは天皇の命令を受け、苦労し征服を進め病気で死去」という神話に、2社が「大きな白鳥に生まれ変わり、都の方へ飛んで行った」との趣旨の神話を掲載。

同会は7月11日、神話と史実とを児童が混同しないよう配慮を促す見解を、『資料』に掲載すべしと請願。だが設定期限の17日までに都教委は回答しなかった。

(永野厚男・教育ジャーナリスト、2019年7月26日号)

 

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