消費税は本来の「高齢化に向けた安定的な財源確保」に使え
鷲尾香一|2019年8月15日7:00AM
安倍首相は6月30日夜、インターネット番組の党首討論会に出席し、「10月から幼児教育・保育を無償化し、高等教育を無償化する。そのためにも安定財源である消費税が必要だ」と述べた。
また、年金問題については、「デフレから脱却し、受給額が減らないように経済を良くする」とし、景気回復をすれば年金受給額が減ることはないと強調した。
金融庁が6月3日にまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という報告書で、「95歳まで生きるには、取り崩しができる金融資産が夫婦で約2000万円は必要になる」との試算を示した問題は年金制度の信頼性に“飛び火”し、国会でも取り上げられるなど、物議を醸した。
しかし、同報告書は金融庁が進める“貯蓄から投資へ”を促進するためのツールであり、年金制度を検討したものではないことは明らかだ。
確かに、金融庁が同報告書の中で、年金制度のあり方にうかつに言及したことは軽率のそしりを免れない面もあろう。しかし、すべての高齢者世帯が同程度の生活水準を営んでいるわけではないことは、小学生でもわかることだ。
それをあたかも年金制度の欠陥が露呈したかのように国会で取り上げ、具体的な対案を示すこともなく追及する野党の姿勢からは、夏の参議院選挙で年金問題を争点にしたいという“臭い”がプンプンと漂った。