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消費税は本来の「高齢化に向けた安定的な財源確保」に使え

鷲尾香一|2019年8月15日7:00AM

 筆者は、本誌5月10日号の「『消費税の5%以下への減税』を求めることに賛成?反対?」キャンペーン記事で、安倍政権が “甘言を弄して”消費税収を本来の目的に使わないのであれば、消費税率を5%に引き下げるべきだと述べた。

1989年(平成元年)2月、当時の竹下登首相が消費税3%の導入の際に、消費税による税収の利用目的を「高齢化に向けた安定的な財源確保」と述べている。

それが安倍政権下では、消費税は“便利な税収”として、さまざまに利用目的が変更された。冒頭のインターネット番組の党首討論会でも、安倍首相は消費増税分の使い道を「10月から幼児教育・保育を無償化し、高等教育を無償化するため」と述べている。

年金制度の拡充を取り上げると、「年寄り優遇」という声が筆者の元にも届く。しかし、2017年の「家計の金融行動に関する世論調査」では、2人以上世帯で運用や将来への備えなどを目的とした金融資産が「ない」と答えた世帯の割合は31.2%と過去最高となった。

日本総研の試算によると、現在40歳前後の就職氷河期世代で貯蓄ゼロ世帯は17.3%、30代も14.5%にも及ぶ。

今、日本に起こっているさまざまな問題の元凶の一つが、「少子化」にあることは、誰もが知っている。そして、少子化の一因となっているのは、若者世代が抱える将来への不安、老後への不安があることも明らかだ。

筆者の子どもたちは、「年金をもらえない世代」と平然と言い放つ。消費税の利用目的を「高齢化に向けた安定的な財源確保」に戻し、若者世代が将来への、老後への不安を感じることのない年金制度の検討を行なうべきだ。

(わしお こういち・経済ジャーナリスト。2019年7月12日号)

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