天声人語氏曰く
小室等|2019年8月16日7:00AM
「ごあいさつ」
谷川俊太郎
どうもどうも
やあどうも
いつぞや
いろいろ
このたびはまた
まあまあひとつ
まあひとつ
そんなわけで
なにぶんよろしく
なにのほうは
いずれなにして
そのせつゆっくり
いやどうも
谷川さんの「ごあいさつ」は、フォークシンガーの高田渡が歌にしたことで、少なくとも僕たちフォークの連中にとっては有名。
七月二日、『朝日新聞』天声人語は、トランプ&金正恩の板門店会談を、「ごあいさつ」を引き合いにし、揶揄していた。「ごあいさつ」は一九六二年から『週刊朝日』誌上に掲載された「落首九十九」シリーズの一つ。落首とは、風刺・嘲笑・批判の意をこめた匿名の歌で、谷川さんが落首をコンセプトに書き綴ったシリーズの一つが「ごあいさつ」だ。
五五年も前の風刺が、天声人語氏引き合いのとおり、五五年後の板門店会談にぴったりはまってしまう。
天声人語氏の「ごあいさつ」引き合い、慧眼。