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東大教授ら77人、日韓関係悪化を憂慮する声明に賛同呼びかけ
2019年8月22日11:38AM
日韓関係の悪化を憂慮する日本の有志らによる声明「韓国は『敵』なのか」が7月25日、インターネット上で公開された。石坂浩一・立教大学教員、内海愛子・恵泉女学園大学名誉教授、弁護士の内田雅敏氏、岡田充・『共同通信』客員論説委員、岡本厚・元『世界』編集長、田中宏・一橋大学名誉教授、和田春樹・東京大学名誉教授の世話人7人をはじめ77人(26日現在)が、声明への賛同を呼びかけている。賛同者は30日8時現在で3274人にのぼる。
世話人の一人である内田弁護士は本誌の取材にこうコメントした。「元徴用工問題に端を発した安倍政権の半導体材料輸出規制は、日韓関係の改善を目指すものでなく、さらなる悪化をもたらす愚策だ。そのことを日本国内に発し、同時に、日本の民衆は安倍政権と同じではないことを韓国民衆に対しても発信する、このことが、今、喫緊の課題だ。いろいろ意見もあるが、1965年の日韓請求権協定は植民地支配に向き合っておらず、修正が不可避という点では一致している」。
声明は、日本政府が韓国に対する輸出規制をただちに撤回し、韓国政府との間で冷静で合理的な対話・議論を開始するよう求めるとともに、安倍晋三首相に対しては、日韓両国民の仲を裂き、両国民を対立反目させるようなことはやめるよう求めている。賛同署名の第1次締切りは8月15日。
「信頼関係の醸成こそ平和への道、制裁は時代錯誤」「歴史を忘れ去る民族に未来を語る資格はない」「外交というのは、友好関係を築く努力」「隣国と仲良くするのは最高の安全保障」。賛同者から寄せられた「ひと言」の一部だ。
声明は、URL https://peace3appeal.jimdo.com/から参照できる。署名は以下から。
URL https://forms.gle/4Naxt9Aw4WfS1VK39
URL https://ssl.form-mailer.jp/fms/a466957e630362
声明要旨(編集部作成)は以下のとおり。
【報復の連鎖を回避せよ】
特別な歴史的過去をもつ日本と韓国の場合は、対立するにしても、特別慎重な配慮が必要になる。それは、かつて日本がこの国を侵略し、植民地支配をした歴史があるからだ。日本の圧力に「屈した」と見られれば、いかなる政権も、国民から見放される。日本の報復が韓国の報復を招けば、両国のナショナリズムは収拾がつかなくなる可能性がある。このような事態に陥ることは、絶対に避けなければならない。
(輸出規制)措置自身、日本が多大な恩恵を受けてきた自由貿易の原則に反するもので、日本経済にも大きなマイナスになる。来年は「東京オリンピック・パラリンピック」。主催国自身が周辺と摩擦を引き起こしてどうするのか。
まるで韓国を「敵」のように扱う措置になっているが、とんでもない誤りだ。韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人だ。
元徴用工問題について、安倍政権は国際法、国際約束に違反していると繰り返し、述べている。それは65年に締結された「日韓基本条約」と「日韓請求権協定」のことを指している。
元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業だ。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまった。元徴用工問題と同様な中国人強制連行・強制労働問題では72年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償の放棄後も、2000年花岡(鹿島建設和解)、09年西松建設和解、16年三菱マテリアル和解がなされているが、その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟まなかった。
日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として、存在しているから、尊重されるべきだ。しかし、安倍政権が常套句のように繰り返す「解決済み」では決してない。
(文聖姫・編集部、2019年8月2日号)