「#不登校は不幸じゃない」
当事者らがSNSで発信、全国100カ所でイベント開催
谷瀬綾子|2019年8月28日10:27AM
【保護者世代との認識のズレ】
今回、全国各地を回って見えてきた課題として、小幡さんは保護者世代と今の子どもたちの環境のギャップをあげている。保護者世代は学校に行かないと友達もできないし、勉強もできないという時代だったが、小幡さんの経験からもわかるように、今はいろいろな選択肢がある。特に大きなギャップとして「保護者世代のゲームへの偏見がひどい」と指摘する。
座談会で出会った12歳の子は、あるゲームソフトではプロゲーマーのスカウトが来るほど強く、その子の両親もゲームをすることを応援していた。一方、たまたま同じ会場に来ていた16歳の子は、その12歳の子に勝つほど強かったが、その子の両親はまったく理解していなかったという。
「すごく悲しいですよね。めちゃくちゃ強くて、すごく頑張って努力していたのに、親はまったくそれを評価できず、どうやってゲームを止めさせるかを考えていた」
小幡さんは、不登校の子が時間つぶしとして一人でゲームをやり続けているのはよくないが、ゲームを通じて人とのコミュニケーションをとることは不登校の支援ツールにもなると指摘した。
佐賀でイベントを主催する奥村美麻さんは「不登校は不幸じゃない」という言葉に惹かれたという。この日、奥村さんは小学4年生の息子と参加。2年生の時から、本人の希望で学校に行かなくなった。初めは悩んだが「学校に行っているから将来が約束されるわけじゃないし。行かなくても楽しくやっている方が、健康かもしれない」と考えるようになったという。
奥村さんは「不登校は不幸じゃない。不幸にするのもしないのも自分たちだ、ということに気づくきっかけになれば」とイベントへの思いを語った。
「♯不登校は不幸じゃない」イベントの全国各地の開催状況についてはホームページ(URL https://www.obatakazuki.com/futoko2019#1)を参照。
文部科学省によると昨年度の不登校の小中学生は14万人を超えており、年々増加している。
(谷瀬綾子・フリーランスライター、2019年8月9日号)