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リニア工事残土でウラン検出 
JR東海は危険性を否定

井澤宏明|2019年9月6日12:45PM

【ラドン被害の危険性も】

「リニア残土微量ウラン JR東海公表せず」

『しんぶん赤旗』1面をこんな記事が飾ったのは8月5日のこと。岐阜県瑞浪市の日吉トンネル建設工事で掘り出した残土から、放射性物質ウランが検出されていたことが、岐阜県に情報公開請求して入手した資料から判明した、と伝えたものだ。

この地域には、「国内最大の埋蔵量」といわれるウラン鉱床群がある。ウランを掘り出したり、ウラン残土から気体のラドンが染み出たりする危険性は、着工前から指摘されていた。これに対しJR東海は「ルートはウラン鉱床を回避している」「ウラン鉱床のようなウラン濃度が高い土を掘削する可能性は低い」と反論してきた。

岐阜県に問い合わせると、JR東海が昨年6月と今年6月に公表した「環境調査結果」に、ウランやラドンの検出を示すデータが既に記載されていたことが分かった。これによると、ウランは昨年2月から7月に検出され、最大値は6月の1グラムあたり13・0マイクログラム。JR東海が「管理基準値」とした1グラムあたり77マイクログラムを下回っていた。

一方、掘削口となっている「南垣外非常口」の工事ヤード敷地境界で測定したラドン濃度は昨年11月、自然状態からの増加分が1立方メートルあたり最大15・6ベクレルと、JR東海が「管理基準値」とした1立方メートルあたり20ベクレルに迫っていた。この管理基準値は、その空気を1年間吸い続けると、1ミリシーベルトの被ばくになる濃度だ。

非常口近くの住民によると、JR東海からは定期的に説明を受けているが、「管理基準値内です」という説明しかなかったという。「『避難が必要なら知らせてほしい』とJR東海には伝えてある。測定した時間以外にはもっと高い濃度だったかもしれず、知らせてほしかった」と話している。

元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏は「ラドン被害で明確に分かっているのは肺がん。基準値以下でも肺がんになる可能性は高まるので、JR東海は『基準値を超えないからいい』とするのではなく、できるだけ少なくする努力が必要だし、常に住民に知らせるべきだ」と警告している。

(井澤宏明・ジャーナリスト、2019年8月23日号)

 

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