六ヶ所再処理工場訴訟
提訴から27年、活断層否定する原燃
澤井正子|2019年9月8日1:08PM
訴訟の最大の論点は原発同様地盤問題である。下北半島の太平洋側の海底には、長さ約150キロメートルと推定される大陸棚外縁断層が存在している。『新編 日本の活断層(1991年)』にも記載されているこの大断層は、落差200~300メートルもの崖を形成し、約12万年前以降も活動していると識者らは認定している。
この断層について、日本原燃と国は、申請時から一貫して「活構造」ではないと主張。その理由は明らかで、もしこの断層が動けば、六ヶ所再処理工場だけでなく東通原発やむつ使用済み核燃料中間貯蔵施設、大間原発にも大きな影響を及ぼすからだ。
渡辺満久東洋大学教授(変動地形学)は、工場周辺での地上地形を調査し、大陸棚外縁断層の南端は二つに分岐しており、一方は陸側(六ヶ所村側)に乗り上げるように南南西にのびていると認定した(2008年)。日本原燃の反射法音波探査調査でも、この断層南端は、六ヶ所核燃料サイクル施設周辺の地下深くで活構造を示し、渡辺教授は「六ヶ所断層」と名付けた。
現在、安全審査で活断層とされているのは、工場から約1キロメートルの地点で、露頭を残している8?11キロメートルの出戸西方断層。申請時にはこの断層さえ、「活構造ではない」とされていた。裁判では、大陸棚外縁断層は無視され続けている。ここに原子力施設の安全審査の大きな“闇”がある。
(澤井正子・核燃サイクル阻止一万人訴訟原告団、2019年8月30日号)