東京外環道工事で苦情続出
世田谷の「振動」は震度3レベル?
丸山重威|2019年9月13日5:58PM
地下40メートルの工事現場から酸欠気泡が地上に噴出して問題化した東京外かく環状道路(外環道)工事(本誌昨年9月7日号既報)で、今度は同じ場所に島のような小さな「州」が出現した。マシンの動きに連動し地上の住宅に振動が伝わる問題も広がっている。
「地上には影響がない」との理由で地権者の了解もなく進められ、憲法違反で訴えられているこの工事には、モグラのように地下を掘り進む工法には直径約16メートル、長さ約14メートルのシールドマシンと呼ばれる掘削機に柔軟剤として起泡剤が使われている。事業主の国土交通省と、東日本・中日本の高速道路会社は、現れた酸欠気泡は掘削に原因があると認め、起泡剤の成分を変え、別工法で動かし始めている。
住民団体は「きちんとした説明を」と要求、地元自治体も説明会の開催を求めている。
【扉が、仏壇が……振動も次々】
ところがマシンが再び動き出した今年1月から、工事現場に近い世田谷区で「振動」の苦情が目立ち始めた。多くは、人が寝静まった夜。「2階で振動を感じ、仏壇や扉がバタバタした」「震度3くらいの揺れがあった」「風呂の水も揺れていた」など。「落ち着いて眠れない」との訴えだ。
住民の訴えを受け日本共産党の山添拓参院議員が今年5月、国交省に聞き取り調査をしたところ、事業者に「本線掘進」「土砂ピット作業」など11件の問い合わせがあったことが確認された。大深度地下の作業が原因であることを同省も認めた。
さらに、酸欠気泡が上がってきていた世田谷区の野川では、いったん気泡は見られなくなったが、今度は同じ場所が隆起。「州」が生まれ、小さな「島」のような「小高い州」になった(写真参照)。
事業者は「隆起などではない」と説明したが、「州」には草も生え、トンネル建設が地下水脈の変化を引き起こし、土層を動かして土地の隆起を引き起こした可能性は否定できない。