東京外環道工事で苦情続出
世田谷の「振動」は震度3レベル?
丸山重威|2019年9月13日5:58PM
【説明の場でも明快な回答なし 住民の不安は募るばかり】
7月7日午後、調布市の小学校で「情報提供と個別説明をする」として事業者による「オープンハウス」が開かれた。同月3日から練馬区、杉並区、世田谷区、武蔵野市、三鷹市、調布市、狛江市の計7市区(8カ所)で開いたオープンハウスの一つ。会場には地元住民約20人が訪れ、話し合いが行なわれた。
問題の一つは「州」の出現でわかった地表面の変化だ。事業者側は「これは地下水の低下で、工事の影響ではない」と説明。1キロも下流のデータを出したが、地表面の変化については「地表の傾きは1000分の1ラジアンを目安にしている」と言うのみ。観測地点も管理値も明らかにしなかった(「ラジアン」は「角度」を示す数学上の単位。「弧度」。1ラジアンは約57度だという)。
現在世田谷区内の地下を掘削している2本のシールドマシンはともに9月頃に小田急線を越えて北側の地下(狛江市内)に入る。地層も変わるので、再び気泡を使う工法に戻すこともあるという。しかし事業者側には「気泡」についても、「地盤の変化」についても、それを調べて住民に説明する姿勢はない。住民のイライラは増すばかりのようだ。
「地上には影響がない」との理由ですべてが進む「大深度地下」工事。違憲訴訟の弁論も進み国側の論理の破綻は明らかになりつつある。同じ論理のもとに進むリニア中央新幹線工事では水枯れ問題が表面化している。「地下はだれのものか」――それが問われている。
(丸山重威・ジャーナリスト、2019年8月30日号)