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埼玉県知事選、大野元裕氏が大逆転勝利
野党共闘に勢い
横田一|2019年9月13日6:13PM
埼玉県知事選挙(8月25日投開票)で立憲民主党や国民民主党など野党4党が支援した大野元裕・元参議院議員が、自公推薦のスポーツライターの青島健太氏らに5万票以上の差をつけて初当選した。当初は知名度の高い青島氏がトリプルスコアでリード。しかも菅義偉官房長官ら自民党大物議員が応援演説に駆けつけた中での「奇跡の大逆転勝利」(選挙プランナーの松田馨氏)。与野党一騎打ちを実質的な野党統一候補が制した形で、立民と国民が衆参会派合流に合意した直後でもあり、野党共闘に勢いがつくのは確実だ。
ラストサンデー前日の17日には枝野幸男・立民代表と玉木雄一郎・国民代表が揃って応援演説。枝野氏が「誰かの操り人形のようなリーダーではいけない」と青島氏を“官邸傀儡候補”と示唆すると、玉木氏も「税金を使う側ではなく、払う側の立場に立って仕事をしてきた大野さんを知事に」と実績を強調、息のあったところをみせた。勝利を受け玉木氏は「与野党激突の厳しい戦いを制したことは、次期衆議院選に臨む我々にとっても大きな展望を切り開く」と総括。「より一層の野党連携を進める」との談話を発表した。
一方、総力戦で敗れた自公には大誤算。枝野氏(衆院埼玉5区)お膝元の県知事選で打撃を与えようとして返り討ちにあった形だ。菅氏が懇意な佐藤浩創価学会副会長経由で支援要請をしたとされるが「創価学会はフル稼働に程遠かった」(野党系県議)。菅氏が頼る“官邸御用達選挙プランナー”三浦博史氏も現地に張り付いたが、大野氏についた若手選挙プランナーの松田氏との師弟対決に敗北。重要選挙勝利に貢献してきた司令塔の菅氏が常用する勝利の方程式が今回は通用しなかったのだ。
今年10月には大野氏辞職に伴う参院埼玉補選がある。「埼玉から安倍一強を切り崩す」(大野陣営関係者)という声があがるのはこのためだ。知事選を機に野党連携がどう進むかが注目される。
(横田一・フリージャーナリスト、2019年8月30日号)