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自衛隊、防災と無関係なPRと募集活動
永野厚男|2019年10月2日3:21PM
「防災の日」の9月1日、東京都と多摩市の28年ぶりの合同総合防災訓練で自衛隊が防災と無関係な軍事のPRや募集活動を強行し、市民から反発の声が出ている。
都は23区と多摩地区の市部で防災訓練の共催相手を隔年で募集。これに応募した多摩市は市立多摩中学校の2年生(約150人)を8月31日午後から9月1日午前にかけて、教育課程上の学校行事として参加させた。同中学校で宿泊して行なう避難所運営訓練は当初(1)炊飯車で作る豚汁の訓練会場・体育館への運搬、(2)仮設風呂(自治会住民が入浴)の生徒への説明などを、陸上自衛隊練馬駐屯地の隊員が行なう予定だった。
だがタイトな日程の調整過程で、市民団体の都庁や多摩市への反対申し入れもあり、(1)は住民が、(2)は都庁職員が行ない、自衛隊員による生徒への接触はほぼ解消。体育館内では市職員撮影の地震・水害写真のパネル展示や、災害時の対応を考えるHUG訓練、NTT災害時の公衆電話や伝言ダイヤルの説明などが実施された。
ところが1日午前に2年生全員が参加させられた多摩センター駅周辺での訓練(都発表で2万人参加)見学では自衛隊が露骨な“宣撫工作”を遂行。多摩中は校長ら教員10人を主要スポットに配置。生徒を三十数班に分け、各ブースに国士舘大学体育学部の学生が3人ずつ付いて引率した。自衛隊東京地方協力本部のブースでは隊員募集グッズを置き、偵察行動などに使う大型バイクに乗るよう隊員が愛想良く通行人に促す中で多摩中男子も数人が試乗。幼児を乗せスマホ撮影する父母も多くいた。
ブース奥のパネル展示では戦車・戦闘部隊の写真に「敵を圧倒・制圧します」との説明もあった。監視に来ていた保護者が「敵」という表現に抗議すると、防衛省の男性職員が「対象国としたほうが良かったですかね」と弁解する場面もあった。
(永野厚男・教育ジャーナリスト、2019年9月13日号)
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