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東京五輪・パラリンピックに暗雲
組織委が「旭日旗」を許可
岩本太郎|2019年10月3日12:18PM
【サッカー国際試合でも過去に問題発生】
五輪以外でも旭日旗をめぐっては過去にもスポーツの舞台で議論が沸き起こった。2013年にソウルで行なわれたサッカー東アジアカップの韓国代表対日本代表の試合では韓国側の観客席に「歴史を忘れた民族に未来はない」との大型横断幕が掲げられたが、これについては「先に日本側応援席で旭日旗を振るサポーターがいた」との声も飛び出し物議を醸した。
17年4月にはJ1・川崎フロンターレのサポーターがアジアチャンピオンズリーグ(ACL)での水原三星(韓国)とのアウェイの試合中に応援で旭日旗を持ち出しトラブルが発生。AFC(アジアサッカー連盟)も川崎に1年間の執行猶予付きでAFC主催の無観客試合(1試合)や罰金1万5000ドルを命じた。FIFA(国際サッカー連盟)は規約で「挑発的・差別的行為の禁止」を厳しく定めており、それに準じた格好だ。
これだけスポーツの国際試合で問題になりながら、よりによってなぜ東京五輪・パラリンピックで日本側からそんな話が出るのか。先の徐敬徳教授は前記『中央日報』記事などで、来年の東京五輪が「旭日旗がハーケンクロイツのような『戦犯旗』であることをきちんと知らせることができる絶好のチャンスで、よく活用する必要があるだろう」と痛烈な皮肉ともとれる見解を披露した。裏返せば日本側のそうした認識の欠如や、昨今の日本国内における「嫌韓」の風潮に組織委や日本政府が安直に乗っているということではないのか。
そもそも今回の件は前段に日本の外務省が5月24日、公式サイトに旭日旗に関する説明文書をアップし、その中で〈これまで半世紀以上にわたり、自衛艦または部隊の所在を示すものとして、不可欠な役割を果たしてきており、国際社会においても広く受け入れられている〉などと説明したことで韓国側から批判を浴びた件に遡る。スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんは「五輪を『国家間の競争ではない』とした五輪憲章に今の五輪自体が違反する」と語り、大会組織委の森喜朗委員長(元首相)自らが「滅私奉公」といった言葉を掲げて国威発揚やメダル獲得競争を促す発言を行なうという東京五輪の本質そのものが背景にあると指摘。折しも同五輪・パラリンピックのメダルデザインにも「旭日旗を連想させる」との批判が出た件にも触れ「まさに透けて見える本音としての日本の国家主義が出たということです」と批判した。大会まで残り1年を切った段階でこんな話題が続々出てくるあたり前途が危ぶまれる状況だ。
(岩本太郎・編集部、2019年9月13日号)