朝鮮学校「無償化」排除に抗議集会
「司法が政権の差別に加担」
土村利夫|2019年10月4日11:41AM
朝鮮学校を高校無償化の対象から除外した国の判断は違法だとして、東京朝鮮学園の元生徒や大阪朝鮮学園が国を相手に起こした2つの訴訟(東京・大阪)に対し、最高裁判所は東京訴訟については8月27日、大阪訴訟についても同日に、それぞれ原告の上告を棄却する決定を下した。この決定は不当であるとして東京朝鮮中高級学校や原告、弁護団は30日に文部科学省前で抗議集会を行なった。
東京朝鮮学園の金順彦理事長は「朝鮮学校だけを無償化制度の対象から排除したのは政治的・外交的理由からである。この差別を是正するため司法府に救済を求めざるを得なかったが、人権の最後の砦となる最高裁判所は本決定でその役割を放棄し、文部科学省の不当な差別を是認した。驚きと強い憤りを禁じ得ない」と訴えた。原告側の金舜植弁護士は「最高裁が判断をせず、まったく理由を述べずに原告の上告を棄却したことは、まさに不当な決定だ」と語り、東京朝鮮高校生の裁判を支援する会の長谷川和男共同代表も「最高裁は法理を破壊するとともに、人権救済の役割を放棄し、安倍政権の政策に加担した」と断じた。
不当差別が是正されると信じてきた朝鮮学校生徒の思いを踏みにじる決定に、東京朝鮮学校オモニ会連絡会の女性は「生徒の中には高1の時に地裁、高2の時に高裁(の法定)で不当判決を受け、高3の今、最高裁の不当な決定を聞いたという者もいる。生徒たちが街頭に立ち、差別是正を訴え続けた気持ちが理解できるのか」と涙ながらに抗議した。
抗議集会では「今回の最高裁の決定は、名古屋、福岡、広島の各高裁で『無償化』裁判の判断が出る前に行なわれた。これは、今後、各高裁での判決を敗訴に導く狙いがある」と指摘する一方、「今後も朝鮮学校を支援する人たちと連携し闘っていく」と力強く訴えて、発言を結んだ。
(土村利夫・編集部、2019年9月13日号)